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飛躍的に発展するAIの時代

「AIは今後、指数関数的な成長を遂げ、2045年頃には人間の知性を超越した存在になる。」

これは、現在のグーグルのAI開発責任者を務めるレイ・カールワイツ氏をはじめとした科学者らが提唱した科学思想です。「シンギュラリティ(技術的特異点)」「2045年問題」とも呼ばれるこの未来予想は、現実のものとなるのでしょうか。

この問題を考える上ではAIについてよく知らねばなりません。AIとは何か?AIの何が注目されているのか?これらについて、AIの歴史を振り返りながら明らかにしていきましょう。

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◇皆さんは「AI」と言われたとき、何を想像しますか?

熱を感知して送風を変化させるエアコン、自動で部屋を動き回るお掃除ロボット、はたまたプロ棋士と互角に渡り合う将棋ロボット…。AIについての定義は一様ではありませんから、どれもAIと言えるでしょう。

しかし、AIの中にも「限定された知能によって、一見知的な問題解決を行う」ものから、「人間の知能原理を解明し、工学的に実現する」ものまで様々なレベルが存在するのです。

◆1960~1970年代

この時代は、コンピュータが得意とする、人間を超越した計算能力と記憶能力が注目された時代です。

例として、オセロや将棋の対戦AIを見てみましょう。これらのゲームには、盤面と指すべき手の過去の膨大な対戦データが存在します。それらをAIに学習させ、状況に応じて勝利につながる指し手を、点数などで評価しながら絞り込んでいきます。そして、対戦の終局に近づけば、あとは可能な指し手をすべて洗い出し、最も勝利に近い手を選択していくのです。1秒間に数億手を読むコンピュータならではの戦略と言えるでしょう。

しかし、この基本原理は力任せな探索であり、探索すべき解の空間が膨大だと通用しません。また、オセロや将棋などの明確なルールの中で次の一手を考えるだけでは、ずっと複雑な現実の問題は解決できません。

研究者たちは、人間の知能をコンピュータで実現させる奥深さを目の当たりにしました。

◆1980~2000年代

この時代は、コンピュータに「知識」を入力したときの有用性が注目された時代です。

「病気に関するたくさんの知識」「法律に関するたくさんの知識」…。これらをコンピュータに入力しておけば、コンピュータはあらかじめ決められた条件や質問を介して状況を読み取り、最善の判断を下すことができるのです。これにより、コンピュータはより人間らしい賢さを手に入れました。

しかし、人間の知能をコンピュータで実現するために、「知識」を増やす方法では限界がありました。

その理由にはいくつかあります。まず一つ目は、「知識」を専門家から聞き取り、入力するのに膨大な時間と手間がかかるという点。ましてや人間の知能を再現するために、人間が持つすべての一般常識を入力するなどということは到底不可能です。二つ目は、コンピュータは「関係ある知識だけを取り出す」作業が苦手である点。これはフレーム問題と呼ばれています。知識が豊富なコンピュータに仕事をやらせても、その動作に伴って副次的に起こりうることを無限に考えてしまい、結果的に動作できなくなるのです。三つ目は、コンピュータは「知識」と「意味」を結び付けられないという点。これはシンボルグラウンディング問題と呼ばれています。例えば、コンピュータに「シマシマのあるウマがシマウマ」という知識を入力しても、コンピュータはその意味は理解していないので、本物のシマウマを見ても「シマウマだ」と分からないのです。

「知識」だけでは人間の知能に遠く及ばないという事実が浮き彫りになったのです。

◆2010年~現在、そして未来 / ディープラーニングの衝撃

Amazonの「次はこんな商品を買ってはいかが?」、あるいはYouTubeの「あなたへのおすすめ」などの自動提示機能を見たことはありますか?

これらの情報はすべて、膨大なユーザーが生み出すビッグデータをコンピュータが解析して作られています。このように、「ビッグデータを解析し、そこから実用性のある何らかのパターンを抽出する」技術は機械学習と呼ばれ、インターネットの普及に伴い近年急速に発展している分野です。個々の消費者に向けて精度の高い宣伝を行うなど、ビジネスチャンスを無限に広げる可能性を持ったこの技術は、世界中から注目されています。

そしてこの機械学習の中で特に衝撃的だったのが「ディープラーニング(深層学習)」の登場です。この技術は人間の頭脳を構成する神経回路網を人工的に再現した「ニューラルネット」の一種で、このディープラーニングによって、コンピュータは人間から何も教わることなく自力で物事の「概念」を獲得することに成功したのです。

ディープラーニングは、「膨大なデータから注目すべき特徴を見つけ、その特徴の程度である『特徴量』をコンピュータ自らで獲得する」技術と言い換えられます。従来の機械学習では人間がその特徴量を設定していましたが、このディープラーニングを用いれば、コンピュータはすさまじい演算速度で何と何が相関しており、何が独立なのかを判断し抽象化していくことで特徴量を獲得し、そして物事の「概念」をも獲得します。

丸や四角など単純で簡単な特徴量をもとに、人間の顔など高次の特徴量をコンピュータが自ら見つけ出す。このアルゴリズムが確立された以上、ビッグデータを獲得する能力と特徴量を学習する能力 が人間よりもはるかに優れたコンピュータが、人間に匹敵する知性を手に入れることは不可能でないと言えるでしょう。

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「今から20年後、現在の労働者が持っている各種職能への需要は大幅に低下しているだろう。」

マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏の2014年の言葉です。

また、英オックスフォード大学の2013年の研究は、論文で「今後10~20年以内に現存する職種の47%がAIに奪われる。」と結論付けています。

AIが人間の知性を超越するとされる2045年、あなたはまだ何かのために働きますか?

お金のため?家族のため?生活のため?AIの発達により、あなたの「働く」概念は覆るかもしれません。

これからの未来を生きる私たちに求められている能力とは、いったい何でしょうか?

これからの私たちの「学び」は、どのようにあるべきなのでしょうか?

本フォーラムでは、現代の魔法使いと呼ばれるメディアアーティストの落合陽一氏(筑波大学助教授)をお呼びし、落合氏が提唱されている未来の社会像「デジタルネイチャー」についてご講演いただきます。

その後、教育界の有識者である鈴木寛氏、隂山英男氏と学生登壇者を交え、AIの発展による社会変化の中で、大学教育はどうあるべきなのかを議論します。

「AIとともにあなたはどう生きたいか」

私たちと共に考えてみませんか?

—————フォーラム概要——–——– ■テーマ:「AI とともに君はどう生きたいか~現代の魔法使い・落合陽 一と考える 21 世紀の大学の役割~」 ■日時:2017年11月26日(日) 13:30-16:30(13:00会場予定) ■場所:京都大学 吉田キャンパス 法経本館 第1教室 ■入場料:無料 ■主催:NPO法人日本教育再興連盟(ROJE) ■登壇者: 落合陽一氏(メディアアーティスト、学際情報学博士 筑波大学学長補佐)  陰山英男氏(陰山ラボ代表(教育クリエイター)、NPO法人日本教育再興連盟代表理 事)  鈴木寛氏(東京大学教授、慶應義塾大学教授、文部科学大臣補佐官)   ▶︎▶︎参加申込フォーム https://goo.gl/forms/oDu6pI9ZxPigL5f12 (※イベントページの参加ボタンでは事前申込みは完了しません!) ▶︎▶︎お問い合わせ kansai.kyouikuforum@gmail.com ———————————————–——


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